１０月４日朝８時半、ホテルをチェックアウトし、昨日バスが着いた郵便局前のバス乗り
場へ行く。ここからスイスのブックスまでバスで行き、チューリヒ行の列車に乗り継ぐ予定
だ。ブックスまでは１６分。駅の直前で渡った川がスイスとの国境なのだが、昨日と違い
国境を感じさせるものは特に見られない。今回のバスはファドゥーツ始発。乗車したとき
にはまだ車内に乗務員がおらず、まだ運賃を支払っていなかった。終点のブックス駅に
着いて運転手に運賃を払おうとしたら、「いいから。」と手を振って降ろされてしまった。
図らずして無賃乗車。よく見ると周囲の客も運賃を支払っている気配が無い。いったいど
うなっているのだろうか。

　ブックスからの列車はスイス国鉄の車両。この界隈の車両はどこの国も良く似ている。
作っているのが皆シーメンス社だからか？ただしこの列車のトイレは“垂れ流し”。列車
の窓からは遠くにファドゥーツ城も見える。昨日に続きこの辺りの車窓も美しい。ただ今
日も小雨交じりの曇り空なのが残念。まぁ目の高さに雲が浮かんでいる景色も幻想的で
良いのだが。

　窓からの景色が湖に変わり、列車は定刻でチューリヒに到着。「コインロッカー（５ＣＨ
Ｆ）→次の列車の予約」と“お決まり”のコースを済ませて街へ出る。ここはリマト川に面し
た美しい街だ。今回チューリヒでは観光はせず、デパートを覗いてみる事にした。いくつ
かのデパートが並ぶエリアは駅からすぐ近く。その中から「ＭＡＮＯＲ」というデパートに入
る。店の構成は日本とほぼ同じ。１階（こちらで言う０階）が化粧品＆アクセサリー、２階
（同１階。以下省略。）が紳士服＆スポーツカジュアル、３階は婦人＆子供服と続き、６階
には広いカフェテリアがある。ただし地下は食料品ではなく、若者向け（特に女性）ファッ
ションフロアだった。中に入ると、化粧品売り場には今や世界中のデパートにある資生堂
も入っている。ただしポスターのモデルは外人。アジア諸国のデパートでは日本で使って
いるタレントのポスターがそのまま貼られていることも多い。伊東美咲あたりなら、そのま
ま通用すると思うし、欧米ではオリエンタルな感じがして良いと思うのだが・・・。

　４階は文具・ＣＤと家電売り場。家電売り場に並ぶＡＶ製品やデジカメは、日本メーカー
の独壇場だ。隣のＤＶＤ売り場では、チャート１位が何故か「リング（ハリウッド版）」２７．
９ＣＨＦ。ここではドイツ語版とイタリア語版の２種類のソフトが店頭に並んでいた。ＣＤ売
り場では、メアリーＪブライジや、ジュエルなどの新譜が２２．９ＣＨＦ。いくつかＣＤを見て
いたら、「ＳＵＳＨＩ　ＢＡＲ　ＶＯＬ．２」というオムニバス版（２６．９CHF)を発見。ジャケット
には「味がわかる人だけのための１８曲」との日本語も。曲目リストを見ると、１曲だけ小
野リサの曲が入っていたので内容はボサノヴァ系か？発売元はＥＭＩイタリア。ロシアや
ブルガリアでもデパートには寄ったが、それらの国のデパートは専門店街のようなスタイ
ル。久しぶりのデパートを楽しんだら、もう列車の時間が近い。街を一回りしつつ、駅に
戻ることにした。それにしてもこのデパートは日曜が休み。日本では考えられない事だ。

　駅に戻り、スイス産ビール「CARDINAL」（５．２％・３３０ml缶・２．６ＣＨＦ）を仕込んでホ
ームに着いたのは例によって出発２分前。ここからミラノへは「チザルピーノ」という高速
列車を使う。ユーレイルパスだけでは乗車できず、１１ＣＨＦの追加料金（１等）が必要。
チューリヒから湖水地方を通ってミラノへ抜けるこの路線も景色が素晴らしいルート。た
だ相変わらずの雨。私が雨男なのは今に始まった事ではないが、こうも連日雨が続くと
腹立たしくなってくる。それでも時折ガスの切れ目から見下ろせる景色は本当に素晴らし
い。天気が良ければ最高だろう。同じ列車に乗り合わせた皆さん、雨を降らせてしまって
本当にゴメンナサイ。

　｢ﾃﾞﾊﾟｰﾄMANORで売られていたCD　　　　　　　　「チューリヒ-ミラノ間の車窓から」

　　　　　SUSHI BAR VOL.2　26.9CHF」

　列車は少し遅れて１６時５９分にミラノ中央駅に到着。ミラノはおそらく私が世界中の都
市の中でベスト３には入るであろう大好きな街。ただ今回は僅か２時間のみの滞在の予
定。この２時間で、４年前 ミラノに訪れた際にすっかりハマってしまったカバンのブランド
「ＭＨ　ＷＡＹ」のショップに行くことにした。日本でも時々ココのカバンを売っている店を
見かけるが、“プラスティックのクリアケースに取っ手が付いたようなモノ”でも１万円以
上。カバンになると３万円近くと、ミラノで買う２倍以上の値段が付いていて、とても買う気
にはなれない。

　駅に手荷物（６ＥＵＲ。ここは預ける前にＸ線検査があり少し手間がかかる。）を預け、
メトロに乗りＭｉｓｓｏｒｉ駅へ。運賃は１ＥＵＲ。自動改札の反応やエスカレーターのスピード
が遅いのもイタリアらしい。今回ショップまでの地図を日本から持って来なかったのだ
が、４年前の記憶を頼りに辿り着けてしまうあたり、我ながら感心。前回はここでカバン
を４個も買って帰ったのだが、今回はまだまだ旅の途中。「でも見るだけならば。」と、近
接する２軒のショップのうち、まずは「ＤＵＲＩＮＩ５店」に入る。こちらの店舗はアウトレット
的な役割なのか、前回も前年モデルを大きく割り引いて売っていた。中に入って物色して
いると、やっぱり欲しくなってしまう。ミラノらしい色使いのここのデザインに魅かれてしま
うのは、デザイナーが Ｍａｓｕｏ Ｈａｓｕｉｋｅ という日本人らしき人物だからだろうか。悩ん
だあげく、結局ここでは肩掛けカバン ６２．４ＥＵＲを購入。続いて、よせばいいのに近く
にある「ＤＵＲＩＮＩ２店」へ。こちらの方は本店的ポジション。少し値の張る大きめなカバン
も扱っている。４年前には近くにもう１軒あったのだが、２店舗になった分、ここの２階が
広くなった。その２階には、これまた魅力的なカバン達がズラリ。またもや悩んだあげく、
小さめのボストンバック ５８．３６ＥＵＲをお買い上げ。世界一周チャレンジ中だというの
に、こんなに大きな荷物を増やしてどうするつもりなのだ！

　ショッピングに興じている間に残り時間もあと僅か。ミラノのシンボル「ドゥオーモ」も、
大好きなラ・リナシェンテやガッレリアも今回は素通り。ダッシュで駅に戻る。ただせっか
くイタリアに来たというのにまだ何も食べていないので、駅でパニーニ（３．２ＥＵＲ）を購
入。１９時２０分、次の列車に乗り込んだ。今日の最終目的地は、アドリア海に面した町・
リミニ。明日訪れる予定のサン・マリノ共和国へのゲートシティだ。

「ﾛﾚｱﾙのｽﾀｼﾞｵを覗くと大半が男性客。　　　　「ドゥオーモも今回は素通り。だが・・・」

　　　　　　　　　　　　さすがはﾐﾗﾉ。」

　今度の列車は少し古めの車両。１等車両の乗客は私１人しかいない。ミラノを出て約１
時間。途中駅で停車中に車掌が来て何か言ってくる。よく聞いてみると、どうやらこの列
車はここが終点らしい。「ミラノで列車を乗り間違えたか？」 いや、そんなはずはない。
列車やホームに「列車番号」や「行き先」の表示は無かったものの、出発時刻は正しく表
示されていたし、乗ったホームも駅の掲示板で確認した２１番線。車掌に聞くと「フェステ
ィバルがどうのこうの。」と言っている。今日は土曜日。週末や祝祭日はダイヤが違うと
いうことなのか。いずれにしても列車を下りざるを得ない。下りた駅は Treviglioという小
さな駅。駅前には何も無く真っ暗だ。駅員に「リミニまで行きたい」と訪ねると、「５０分後
の列車で一旦ミラノに戻り、別の列車に乗り換えるように」と言ってくる。まだミラノからそ
れほど離れておらず、戻る列車のある時間だったのは不幸中の幸いだ。駅の待合室で
１人列車を待っていると、遠雷が鳴り始め、しだいに音と光が近づいてくる。そして一時
はあがっていた雨も急にドシャブリに。ただでさえ気が滅入っているのに、ますますブル
ーになる。結局さっきミラノから乗ってきた同じ車両に乗って、ミラノへ折り返す。２１時３
３分、ミラノに戻り時刻表を見ると、やはり発車時刻もホームも間違っていないし、さらに
同じ時刻発の列車はスイスへ向かう列車のみ。一体何が起きたのかは良く判らなかっ
た。この時点でリミニへ行く列車はまだあるが、次の列車がリミニに着くのは午前２時す
ぎ。次も同じようなことがあると大変なので、結局今夜はミラノ中央駅前の「ホテル・モノ
ポール」（シャワー・トイレ・ＴＶ・朝食付 ７５ＥＵＲ）にステイ。今日は目的地まで到達でき
ず。明日は忙しくなりそうだ。