クウェート

3/12 BAH 19:00 -KU614- 20:00 KWI

 バーレーンからクウェートへのフライトも1時間、今度はクウェート航空(KU)利用。何気
なく機内安全設備の案内ビデオを見ていたら、妙な事が気になった。CGアニメで作られ
た映像がどうも昨日のQRの物とソックリなのだ。登場人物の性別や服装は違うものの、
ストーリー(?)や構図が酷似。ただ機体内外装はそれぞれの航空会社のカラーリング
になっている。両者の共通点は、いずれもエアバス社の機体だということ。これってメー
カー・オプションか?それにしてもこの便は客層が悪く、他人のシートに座る者や、大声
で騒ぐおばさん、離発着時にウロウロ歩き回る客など、客室乗務員は大変そうだ。
 クウェートに到着後、まずは入国審査フロアに下りた階段の近くにあるビザ・カウンター
へ。名前を告げるとホテルが取得してくれたビザがちゃんと用意されていた。

 ちょうどこの頃アメリカがイラクへ大量破壊兵器の武装解除を要求。日本の外務省も
邦人に対しクウェートからの退避勧告を出すなど、イラク情勢が緊迫していた。ギリギリ
までクウェートへ行くか否かを迷い、普段の海外旅行中なら避けてきたNHKの国際放送
を連日ウォッチして情勢の変化を伺っていた。ただアメリカの提示した武装解除期限・3
月17日までの武力行使は無かろうと判断し、クウェートを訪れることにした。
 そんな時期にも関わらず、入国審査は実にあっさり。呆気なく入国すると、頼んでもい
ないのにホテルから送迎が来ていた。「携帯電話の手配をしに行っているもう一人の客
が戻るまで少し待って欲しい。」とのことなので、その間に両替を済ます。
 もうひとりの客は40代くらいのアメリカ人男性。迎えのベンツに乗り込むと、彼は「お前
はライターか?」と聞いてくる。「ツーリストだ。」と告げると「こんな時期にクウェートに来
るのはジャーナリストくらいだ。」と驚いた様子。実際彼もジャーナリストで、既に2ヶ月近
く中東各国を取材して回っているらしい。「早く自国に帰りたいのだけれど、会社からの
指示があるまで帰れず、それが何時になるかは判らない。」とボヤいていた。

 空港から約30分、「何故か美容院ばかりが10件近く並んでいる通り」を過ぎると今夜
の宿であるヒルトン・クウェート・リゾ−トが見えてくる。1kmほどある海岸線沿いに、ホテ
ル棟と多数のヴィラを持つ広大なリゾートだ。
 車がゲートに入ると「一旦荷物を持って車を降りるよう」言われる。ゲート脇のプレハブ
小屋には空港のようなX線検査の設備があり、我々宿泊客だけでなくホテル従業員であ
る送迎車の運転手まで検査を受ける。車に戻り、ようやくホテルのエントランスへたどり
着く。人が手薄なのか、フロントの対応にやたらと時間が掛かる。
 ホテル館内の至る所にシェルターへの道順を示す掲示があり、この前日には避難訓練
まで実施されたようだ。どうやらこのホテルは米軍のベースになっているようで、一般客
の立ち入りを許していない場所も多い。宿泊客も軍関係者か報道関係者ばかりだ。
(帰国後に見たニュースで、このホテルから軍関係者がコメントしている映像を見ること
もあった。)何か夜食を求めて外に出ようとすると、今度は1m先すら見えないほど強烈
な砂嵐。クウェートではこんな嵐も日常茶飯事らしい。仕方なくホテルのカフェで済ます。
テリヤキビーフとロブスターのサンドウィッチ「Surf & Turf」は超美味。イスラム圏らしい
「ノンアルコール・バドワイザー」もマズマズ。ただそれ以上にこんな厳戒態勢下にも関わ
らず深夜まで応対する案内係の女の子の笑顔は「パーフェクト!」だった。

  
「開戦直前 米兵も平和に朝食を。ホテル内にはあちこちにシェルターへの誘導案内が・・・」

 翌朝起きると天気は晴天。ホテルのボーイが昨夜の砂嵐の砂を掃いている。朝食前に
シェルターを覗いてみようと地下へ降りてみるが、途中で通るホテルのバックヤードで従
業員に見つかり注意されてしまった。諦めてレストランへ行くと、テラスでは米兵も平和そ
うに朝食を採っている。実際にはこの6日後にはイラク攻撃が始まってしまうのだが・・・

 ホテルをチェック・アウトし、まずはタクシーでクウェート・タワーへ。ところがイラクから
の攻撃を懸念してか、クローズだった。続いて訪れたショッピング・センター「アル・シャル
ク・マーケット」では市民が普通にショッピングしているが、店内では「対生物化学兵器
用」のスーツも売られている。市民にインタビューしたり、生活の様子を取材している報
道関係者がやたらと多い。おそらく3月29日にイラクからのミサイル着弾により負傷者
が出たショッピングセンターはココであろう。
 イラク情勢が緊迫化するなか訪れた今回の旅行ながら、中東各国は驚くほど平和だっ
た。ただイラクと国境を接し、過去に侵略を受けたことのあるクウェートだけは、明らかに
他国とは違った緊張感が漂っていた。

  
「クウェートのシンボル クウェート・タワー」「市内アル・シャルク・マーケットで売られていた
対生物化学兵器用スーツ 5KD」

   クウェートドル 収支         両替 空港で  15USD → 4.415 KD
                            ホテルで 40USD(T/C) → 11.47 KD
                                合計    15.885KD

      ビザを記念にコピー                  0.3KD
      ホテル チップ                     0.2KD
      タクシー(ホテル→クウェートタワー)             6.0KD
           (クウェートタワー→アル・シャルク・マーケット)     1.5KD
           (アル・シャルク・マーケット→空港)        6.0KD
      ジュース                         0.075KD
      キャンディー(KD使いきり)              1.5KD
                                合計    15.575KD

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